今疲れているのは「普通の事」です

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今回、特に「何もやる気が起きない」「意欲が湧かない」というお悩みについてお話を伺いました。こうした状態に対する嫌悪感や無力感を感じ、自分を責めてしまう方も多いかもしれません。しかし、このような反応は決して異常なものではなく、むしろ心身が正常に反応している証拠でもあります。

ストレスとは?基本のメカニズムを知りましょう

「ストレス」という概念は、もともと物理学で使用されていた用語です。外部からの圧力が物体に加わることで生じる歪みや変形を「ストレス」と呼びます。この概念が拡張され、生物学や医学、心理学においても「ストレッサー(Stressors)」によって生じる心身の変化として捉えられるようになりました。

私たちの体と心に影響を与える「ストレッサー」には、大きく以下の種類があります:

  • 物理的ストレッサー:極端な気温(猛暑や極寒)、騒音、過密な環境など、外部環境からの刺激が物理的ストレッサーに該当します。これは、自律神経系や内分泌系を通じて身体に影響を与え、血圧や心拍数、呼吸などに変化をもたらします。

  • 化学的ストレッサー:空気中の汚染物質や薬品、アルコール、酸素欠乏や一酸化炭素などが化学的ストレッサーとされます。これらの物質は身体内の代謝系や免疫系に影響を及ぼし、細胞レベルでの損傷や疲労を引き起こします。

  • 心理・社会的ストレッサー:職場や家庭内の人間関係、仕事量や業務内容に伴う負荷、経済的な不安などが該当します。心理的な負担を感じると、脳の視床下部が反応し、副腎皮質からコルチゾールなどのストレスホルモンが分泌され、様々な身体反応を引き起こします。

 

これらのストレッサーが心身に与える影響は、状況や個人の耐性によって異なりますが、長期的に続くと「慢性ストレス」となり、心身に負担をかける要因となります。

ストレス反応の3段階モデル ― ハンス・セリエの全身適応症候群

カナダの生理学者ハンス・セリエは、ストレス反応が時間経過とともに段階的に変化することを明らかにしました。彼の提唱した「全身適応症候群(General Adaptation Syndrome)」は、以下の3段階に分けられます。

 

1. 警告反応期(Alarm Reaction Stage)

警告反応期は、ストレッサーが身体に急激な影響を及ぼし、緊急の対応が必要な時期です。この段階では、ショック相と抗ショック相の2つの段階に分けられます。

  • ショック相:急激なストレッサーに直面し、まだ適応できていない段階です。例えば、目の前に突然危険が現れた場合、体温の低下、血圧の急激な低下、血糖値の低下、筋緊張の減少などが起こります。この段階は通常、短期間(数分から1~2日間)で終了します。

  • 抗ショック相:ショック相を経て、身体が防衛反応を高め、対抗し始める段階です。副腎が活性化し、コルチゾールやアドレナリンの分泌が増加します。これにより血圧や血糖値が上昇し、筋緊張も増加するなど、体がストレッサーに対して適応しようとする変化が現れます。

 

2. 抵抗期(Resistance Stage)

ストレッサーが持続する場合、身体は「抵抗期」に入ります。この段階では、体がストレッサーに対抗するためのホルモン分泌や代謝が安定し、生体防御反応が完成される時期です。しかし、長期間にわたってストレッサーにさらされると、やがてエネルギーの蓄えが消耗し、適応力が徐々に低下します。この段階での慢性的なストレスは、免疫機能の低下、神経系の不安定化、睡眠障害など、健康全般に悪影響を及ぼすことがあります。

 

3. 疲はい期(Exhaustion Stage)

抵抗期がさらに続き、エネルギーが尽きると「疲はい期」に入ります。この段階では、ストレッサーと身体の抵抗力のバランスが崩れ、再び警告反応期に似た症状が現れます。例えば、体温の低下、血圧の不安定、胸腺・リンパ節の萎縮、副腎皮質の機能低下が見られるようになります。場合によっては生命に関わる深刻な影響をもたらすこともあります。

ストレス反応を早期に察知し、適切な対処を

ストレスがもたらす心身の変化を理解し、ストレスサインを見逃さないことが、健康維持に不可欠です。現時点で「疲れ」や「意欲の低下」を感じている方も、これは心身が休息を求めているサインですので、自分を責める必要はありません。

 

ストレスに適応するための具体的な対処法

 

日常生活の中で、ストレスに適応するためにできることはいくつかあります。以下は、ストレスが高まったときに役立つ具体的な対処法です。

  1. 休息を取る:睡眠をしっかりとり、体を回復させることが重要です。睡眠不足はストレス耐性を低下させます。
  2. リラクゼーション法:深呼吸や瞑想、ヨガなど、リラクゼーション法を取り入れることで、リラックスを促し、心の平穏を保つことができます。
  3. 適度な運動:運動はセロトニンやエンドルフィンといった「幸せホルモン」の分泌を促し、ストレスを和らげます。
  4. サポートを求める:信頼できる友人や家族、または専門家に話を聞いてもらうことも大切です。人とのつながりはストレス軽減に有効です。
  5. シーズのサロンの活用:リラクゼーションや体調管理の一環として、サロンでの施術を受けることも、ストレスマネジメントの一環として有効です。プロのケアで心身のリフレッシュを図ることで、ストレスへの抵抗力を高めましょう。

 

ストレスは避けられないものではありますが、上手に向き合い、管理することで、健康な心と体を保つことが可能です。シーズのサロンをぜひストレスマネジメントに役立ててください。