前回のコラムでは、
なぜ日本人に肩こりが多いのか?
という目線から、肩こりに関してのお話をさせてもらいました。
その原因として
骨格上の問題
現代的な生活習慣からくる身体の状態
ストレスによる神経の疲れ
といったことが関与している。
またストレートネックや自律神経のバランスの乱されといったことも考えないといけません。
これらの原因をきっかけにして、重たい「頭」という身体のパーツを支えることに筋肉を使いすぎてしまう…
そして、肩こり症状からなかなか解放されにくい…となってしまうわけですね。
~肩こりから卒業する最初の一歩にしたいこと~
骨格や生活習慣というと、
対処のしようがないもの?
と思ってしまうかもしれませんが、いえいえ、そんなことはありません。
肩こりを解消するのに見直してみたいポイントは
頭と首の位置
なんです。
肩こりに悩んでいるときは、まず頭の位置を意識することから初めてみてみらいたい。
では、肩こりになりにくい頭の位置とはどんなものでしょうか?
~ストレートネックのメカニズムから対策を考える~
頭の位置を考えるうえで、肩こりと切っても切れない症状であるストレートネックについて、もう少しひも解いてみます。
ストレートネックをつくりやすいのは、パソコンやスマートフォンなどをのぞき込む生活習慣。
のぞき込む=頭をもたげるような動作が習慣的になり、その結果として首の骨の位置が乱れることで起こりやすいとされています。
その結果として、首の骨がカーブを失い、頭側に近いパーツから首の付け根にかけてが大きく前方にスライドしたような状態です。
これによって頭が前方に突出することになります。
頭の重みは5〜9キログラム。
ボーリングの玉ほどの重さなので、重力によって前方に落ちて倒れこむような力がかかります。
頭の土台となる肩や首が、この倒れこむ状態を抑えようとして筋肉に負担がかかるわけですね。
ここで負荷のかかっている筋肉をケアしてくのが、一般的な肩こり対策。
でも、根本として変えていきたいのは頭の位置の変化ということになります。
つまり、頭が前に出るクセを修正してあげることが、肩こり卒業のキーワードなんです。
~頭の位置が変われば肩の力も抜けてくれる~
肩こりの卒業を目指し、前方に倒れこむ頭をもとの位置にもどしてあげるには何をすればいいのか?
答えは単純で、頭をバックしてあげればいいだけなんです。
前に出たのだから、後ろに戻してあげる。
その手順としては、
目線は少し遠くをみるように
顎の位置を少し持ち上げるようにして
頭だけでなく、胸の骨まで意識してまっすぐ後方に誘導
していくように、ゆっくりと引いていってあげます。
このとき肩が前に出るような動きをかんじられれば、さらにバッチリ。
車庫入れをする際に、車がまっすぐバックしていくようなイメージで、頭の位置を整えてあげましょう。
正しい位置に誘導できた目安になるのが鎖骨の動き。
肩を回す動きをしてみて、鎖骨が上下前後に可動できる感覚があれば、頭の位置をきれいにできた証拠。
腕を挙上してみて、動きが軽く感じられるのもいいポジションをつくれているチェックポイントになりますよ。
首や肩から余計な力が抜けたような体感があればさらにベター。
見た目にも首の長さの印象が変わってくれますし、小顔効果も期待できたり。
たったこれだけでも、肩こりを卒業できる身体への最初の一歩になります。
ひとつ注意したいのが、頭を後ろに移動させようとしていわゆる顎を引く動きをしないこと。
「顎を引いてください!」
と声をかけられると、目線を下げるような動きをして、顎をのどに近づけるような動作をしてしまいがちです。
これでは、頭の重みが倒れこむ方向に移送しただけになってしまうので注意してください。
大事なのは目線を少し上げておくこと。
これによって胸元までを含んで、頭全体が後方に移動してくれる状況をつくれます。
~生活習慣の賜物をちょっとしたことで変えていく~
頭の位置が変わることで余計な力が抜けてくれれば、自律神経の動きもスムーズになります。
絶えず筋肉が興奮している身体は戦闘モードを維持したまま。
それでは休まるものも休まらないので、眠りが浅いときにも軽い運動のつもりでも首移動を試してみてください。
呼吸が楽にできるようになったりと、睡眠のためにもなる効果も期待できます。
ストレートネックにしろ、先天的なものでなければ、生活の動きがきっかけになっているものです。
なかなか自分の身体の「今」を冷静にみて、感じてという時間はとりにくいもの。
でも、案外とちょっとしたことで悪い変化も整えていけますから、身体のことご相談になってみてくださいね。